こんにちは。スクラムマスターの@sakebookです。
今回は「象・死んだ魚・嘔吐」をチームでやってみたのでその振り返りをします。
「象・死んだ魚・嘔吐」とは
振り返り手法の一つです。Airbnb Story 大胆なアイデアを生み、困難を乗り越え、超人気サービスをつくる方法(原題: The Airbnb Story)の中で紹介されていたようです。
翻訳されてなかなかキャッチーなネーミングになっています。
それぞれ次のようなことを意味します。
象
- 凄く大きい、見えているけど、みんな見ないふりをしている課題・問題。表層化しているけど大きすぎてみようとしていない。これが何かをみんなで話していく。
死んだ魚
- 放っておくと腐っていく。そういう問題。放置しておくとまずいことになる問題ってなんだろう?ということを話し合う。
嘔吐
- 自分の胸の中に隠していて、吐き出せなかったこと。これをこの場で嘔吐する。
厳密な定義は記事によって異なるかもしれませんが、大枠どんなことを指しているのかイメージがつくと思います。
どうして取り組もうと思ったか
チームのレトロスペクティブ(振り返り)にはKeep Problem Try(以降KPT)を採用していました。
チームメンバーと1on1を定期的に行ったり、各種ミーティングに参加しているなかで、スクラムの価値基準の「公開(Openness)、尊敬(Respect)、勇気(Courage)」あたりをもっと強化できないか?と考えトライしてみることにしました。
どのようにして取り組んだか
いきなり振り返り手法としていつものKPTの代わりに行うのではなく、内容の紹介・導入からと段階を分けて行いました。
その過程で、いつもの振り返りとは別枠でやってみることになりました。
初めの紹介・導入の際には、個人を責めることにならないように、参考にした記事にもあった、レトロスペクティブのプライムディレクティブを共通認識として持つようにしました。
その後実際にやってみる時にも見える位置に置き続けました。
FigJamにボードを用意して、各自に事前に記入してもらう形にしました。
開催当日までに各自で非同期で付箋形式で書き込んでもらうようにしました。
なので実際は
- 朝会で周知
- 非同期で書き込み
- 皆で集まり話し合い
と段階を踏んでいます。
集まってから各自付箋に目を通してもらい、話したいと思ったものにスタンプをつけてもらいました。スタンプが多いものから取り上げて話をしていきました。話す際にはNotionを併用してメモを取りました。
やってみてどうだったか
「ミーティング開始の集まりが悪い」「障害発生時の動きについて」など、普段の振り返りでは出ない内容が出ました。一部マイクロサービスのメンテコストが高いなど、メンバー間で同じような課題を持っているものもありました。
一つ一つの課題が大きなものが多く、TRYに繋げることが難しかったです。
ファシリテーションに不安を感じてましたが、何について話すかを決めたらいつもの振り返りと同じように進めることはできました。
スタンプで投票する形で、どんなことに関心が高いかも可視化されたのは興味深かったです。
普段の振り返りでは出ない内容が出たこと自体とても良いことだと思っていて、抱えているものを吐き出す練習にもなるしチームの課題を見える形にできるのでやって良かったと思いました。
スクラムの価値基準の「公開(Openness)、尊敬(Respect)、勇気(Courage)」あたりをもっと強化できないか?
というところから始めたのですが、正直なところ一度の実施だと強化できたと言う感じはしていないです。ですが、継続して行うことで訓練になって強化されていくと感じてます。
次回以降どうする
レトロスペクティブの選択肢の一つにできればと考えていたのですが、毎週やっても変化がなさそうに感じられたので月一か隔月とかでできればと考えています。
進め方は、次回以降いくつか改善しようと思っている点があります。
付箋は書いた人に読み上げてもらう
付箋の内容だけみてスタンプを押す流れだと、書いた人の意図が正しく伝わらないのでは?という意見がありました。
集まって、皆に書いたものを読み上げてもらってからスタンプを押すようにしようと思っています。
似た内容をまとめる
タイムキーピングに不安があったので、進めることを優先して多いものから順に取り上げていったのですが、似た内容があったものはせっかくFigJamを使っているのでまとめられるといいと思いました。
一つのことに話しすぎない
こちらもよくある話ですが、普段話さない内容だったので集中しすぎました。FigJamだとタイマーもあるので次回は積極的に使っていきます。
無理に解決しない
上がった課題は大きいものは多いので、解決まで持っていこうと考えてしまうと無理矢理になってしまったり、話しきれなかったやるせなさが残ってしまいます。なので解決まで持っていくのを目標にせず、現状を知ることを目標にすることで気持ちを楽にさせたいと考えています。
最後に
次回もやってみてチームの定点観測に使っていければと思っています。
課題は勝手には無くならないので、見えたものに対してスクラムマスターとしてチームや組織に働きかけていきたいと思います。
これで本当にうまくいくかはわからないですが、やってみようと思ってるチームの参考になれば幸いです。